恋するおじさん 完結編

ただの日記です!

みなさん、こんにちは!

クゥーちゃんです。

今回は、「恋するおじさん」の完結編です。

だらだらと書いているうちに超大作?の3部作となってしまった今回のエピソードですが、いい加減この記事を持ちまして、

「いい年こいたおっさんの恋」にとどめを刺そうと思います

前回の記事の最後に書きましたが,、私と彼女のエピソードはとても悲しい結末になってしまいます。

バッドエンドが嫌いな方は、この先から読むことをお勧めしません。

それでも構わない方のみ、読んでいただけたら幸いです。

では、どうぞ~

スキサケおじさんは、一心不乱に仕事へ打ち込もうと決心する

彼女のことが好きな故に、彼女のことを避けてしまう…そんな俺の「好き避け」は日に日にその症状を悪化させ、もはや重症の域にまで達していた。

どうしてこうなってしまったんだろう…

本当に自分でも良くわからなかった。

俺の不自然さは彼女の目にはどう映っているのだろう…

彼女の目を見るどころか顔さえ見れないし…

それでも自分の机から向かって斜め左に座っている彼女は会議の時なんか嫌でも視界に入ってしまう。

視界の片隅から聞こえてくる彼女の声を聞くのも辛い…

どうしてこんなに好きになってしまったのだろう…

この時期の俺は「彼女のことを好きである」

と、それはそれは直線的に自覚していた。

ゆえに、

彼女と同じ空間にいる時、俺はわざと仕事に集中しているふりをしていた。

そうすることが、俺にとってごく自然な反応だったのだ。

「ふり」と書くと、まるで仕事していないように聞こえるが、彼女にうつつを抜かして一日を終えることが出来るほどうちの会社は甘くない。仕事は社内メールを通じて怒涛のごとく降りかかってくる。

仕事に集中せねば…

この頃、早いもので新潟県に赴任して半年が経とうとしていた。高すぎる営業予算に苦しんでいた俺もここ最近は職場にも慣れ営業数値も復調しつつあった。

15名ほどいる自部署の部下たちは優秀な人が多く、俺の頭の中にある計画やアイデアを懸命に具現化してくれようと努力してくれた。

そんな部下達に囲まれ、厳しくも楽しく仕事と向かい合う日々…

この立ち位置(職位)で俺はあとどれくらい仕事ができるのだろう…

ふと、そんなこと脳裏をよぎった。

あと数年で50歳になる俺にはもう残された時間が少ないことは確かだ。

いつだったか…

そう、あれは数年前、

奥さんに言われた言葉を思い出した…

「愚痴ばかり言って生きていたら、すぐにおじいさんになっちゃうよ!」

一緒に暮らしていたころ、出勤前に珍しくぼやいていた俺に優しく言い放たれた奥さんの台詞だ、なんでぼやいていたのかは忘れてしまったが…

その言葉にハッとした俺は、以来打算的に仕事をすることをいっさい辞めた。

営業職に携わっている人なら共感してもらえると思うが、「来年のことを考えないで全力で仕事をする」ことは翌年の自分の首を絞めることになる。今年作った実績がベースなって次年度の予算が振られるため、それ以上に頑張って予算達成するか、昇進試験に合格して栄転するかしないと、この理不尽なラットレースから脱出することはできなくなるからだ。

だから、サラリーマンという人種は一部の上昇志向の高い輩(やから)を除いて、自然とそこそこに仕事をするようになってしまう。

しかし、ここ数年の俺は違っていた。別に昇進や昇給を望んでいたわけではない。

一度っきりの自分の人生(時間)を打算的に生きることに、何とも言えない気持ち悪さと嫌悪感を感じていた俺は後先顧みず仕事に没頭してきた。

左遷された悔しさがあったのかもしれない。

残り少ないサラリーマンとしての時間に言いようのないあせりを感じ始めたのかもしれない。

俺に会社員として残されている時間は少ない。

もやっとした頭の中で、思考を整理して行けば進べき道筋は明快だった。

それから俺は、がむしゃらに仕事に打ち込んでいった…

昇り続ける僕と落ちていく彼女

半年後、俺の部署はチーム一丸となって業務改善に取り組んだ結果、上半期の営業予算を達成した。

部内で部下と喜びを分かち合い、その達成感を噛みしめた。

いつしか俺は事業所内で、上司や同僚から「数字を伸ばし続ける逸材」として一目おかれるようになっていた。

反面、心の中ではそれが至極当たり前のことであるとも思っていた。

それだけのことはやってきたから然るべき結果なのだ。

そして、

先のことを考えると憂鬱にもなった。既に新潟県に来て一年が経っており、ここから先は「去年の自分」との闘いになる。「打算を捨てた自分」を乗り越えていくのは容易なことではないことくらい、己の心の中では折り込み済みだ。

彼女とは、すれ違いの挨拶を交わす程度の味気ない関係になっていた。

お互い虚ろな視線ですれ違い「お疲れ様です」と挨拶を交わす… 刹那、ため息を一息漏らし、気持ちを切り替え前へ進む…

俺の虚ろな視線には、十分な理由があるけど、彼女のは何なんだ?なんでそんなに伏し目がちになるの?

この半年の間に彼女は時々、会社を休むようになった。理由は定かではないが、体調が優れないと噂で聞いた…

少し心配になった。

声をかけようか…

さんざん迷ったあげく…やめておいた。いろんな意味で事(こと)を蒸し返すのは良くない。

別に彼女と俺の間に特別なことがあったわけでもないのに、そんなことが脳裏をよぎった。

そうやって、俺は淡々とした毎日をさらに半年ほど過ごした。愚直に仕事と向き合う…繰り返しの日々…

プライベートで続けていたパチスロの期待値稼働はこの間に辞めた。6号機という射幸性(しゃこうせい)を抑えた新基準機の台頭により稼げなくなってきたからだ。

反面、体を鍛えることは日々続けていた。

そして、その間も俺は彼女を見守っていた。「見守る」なんていう恰好の良い言い方は随分主観的で都合の良い解釈だ。

ただ、見続けていたからこそわかることがある…

彼女は、、何かに落ち込み、何かに悩んでいる…

直感がそう俺に語り掛けていた。

ボーリング大会で僕は彼女に完敗する…

年が明け、2020年を迎えた。

2回目の、新潟県の真冬…陰鬱な曇り空、軽く鬱な気分になりそうになる…といっても初めての年に比べれば耐性がついたのか、俺の心は去年ほど沈んではいなかった。

いろんな意味で「慣れ」というのは恐ろしいものだ。

1月の終わり、労働組合主催の「ボーリング大会」に参加することになった。

例によって「屈託のない笑顔」をトレードマークにしているナイスガイのJ君に半ば強引にメンバーに入れられてしまったわけ。

その日、午後7時前ギリギリで会場に到着すると、そこには若い女性の群れ…

少々困惑して、とまどっていると、J君が

「すいません、男性の参加者が少なくて、来ていただいて助かります。」

と頭を下げた。

改めて、周りを見渡すと男性は俺を含めて4人しかいなかった。

まいったなぁ~

心の中で呟いた。

俺のようなコミュ障のおじさんが来るところではないだろう、完全な場違いだよ…

レンタルシューズを借り、所在なげに突っ立っていると、

「〇〇さ~ん!こっちです!Bチームです!」

と、明るく元気な声が聞こえてきた。

彼女だった…

彼女の体系からは、少し大きめのハイネックのセーターとコールテン生地のパンツを着こなした彼女は仕事姿とは似ても似つかず、とてもおしゃれで別人のようだった。

「同じチームですね!頑張りましょう!」

と俺に笑顔を向けた。

普段は眼鏡をかけている彼女は、今日はコンタクトにしているらしく、その笑顔はキラキラして素直に可愛らしいと感じた。

瞼(まぶた)には薄っすらとピンクのアイシャドウをしていて、非日常の彼女を演出するのに一役買っている…

誰のためのおしゃれなんだろう…と恋愛脳に支配された男なら淡い期待をいだくところではあるが、

女性がおしゃれをする理由の大半は「自分のため」ということ。奥さんから教えてもらったリアルなので間違いないだろう…

それでも、こんなに可愛らしい彼女と同じ時間を過ごすことになり、アラフィフの俺としては「至福」という言葉が相応しい時間であったのだ。

それに加えて彼女は俺を勘違いさせるほどに優しかった。

「コート、私の上着の上に置いてください!」

「組合から差し入れの飲み物とお菓子です!どうぞ!」

今日の彼女は俺の目をまっすぐに見つめてストレートにグイグイ来る…

アレレ???

この半年の俺と彼女のあの無味乾燥な関係はいったい何だったんだろう?

そう思わせるほど、きょうの彼女は近(ちか)しい異性だった。

反面、ボーリングのプレー中の盛り上がり方にはどこかぎこちなさがあった。Bチームは俺と彼女ともう一人の女性社員で構成されていたのだが、ストライクが出ると、女同士ではハイタッチするくせに、俺が数少ないストライクを出しても拍手オンリーというなんともいえない避けられ方…

まぁ、おじさんとは触れ合いたくないよね…普通。

それが、自然なのだと自分に言い聞かせようとしても、彼女の俺に対する「やさしさ」が俺をあらぬ妄想へと駆り立てる。

わかっているのだよ、

こんな妄想が不毛であることも…

わかっているのだよ、

こんな妄想が、世界で最も醜く下品であることも…

でも、

今日の彼女は、可愛くて、優しくて、でも、どこかぎこちない…

そんなアンバランスな時間を俺は心から楽しんだ。

肝心のボーリングの成績はというと…

1ゲーム目、86点。2ゲーム目94点。

実に7年ぶりのボーリングは散々な結果だった…

彼女の前で少しは恰好良いところを見せたかったのだが…

結局、彼女にも5点差で負けるという…いやはやなんとも情けない。

「おつかれさまでした!」

彼女が笑顔で俺に詰め寄ってくる…

「〇〇さんにも負けちゃったね、情けない、ハハ」

上手い返し言葉が見つけられず、そう返すのが精一杯だった。

「・・・・」

彼女はなにも言い返さず、ただ微笑んでいた。

こうしてほろ苦くも、むずがゆい、楽しい時間は終わりを迎えた…

この日の彼女の笑顔を俺はきっと忘れないだろうな…

自分でもよくわからなかったが、何故か俺はそんなことを思ったのだった。

別れの時は無機的に、そして機械的に訪れる…

3月、俺の転勤が決まった。

下半期の営業予算も達成し、安堵のため息をついた矢先の辞令だった。

ちょうど休暇を取って、愛知の実家へ帰省している時に電話で連絡が入った。

異動先は、石川県の事業所だった。今の事業所より売上規模が大きいらしく、形の上では栄転らしい。上司は残念だけどを連呼して、その旨を俺に伝えた。

「えぇ、わかりました。連絡ありがとうございます。」

気丈に受け答えする俺の目の前で、横にいた奥さんが目を丸くしてこう言った。

「パパ、こんな時によくそんな冷静に受け答えできるね、ちょっと尊敬した」

「まぁ、ジタバタしたってどうにもならないし、慣れっこだから。でも本当は心臓バクバクだよ!触ってみ?」

「…あっ、ほんとだ!」

こんな時、無邪気に反応する奥さんがいてくれて本当に救われたな…と心の中でそう思った。

そして、

「これで彼女ともお別れだな…」

正直すぎる俺の心は素直にそう反応していた…

4月になれば、彼女は…

休暇が明けて、職場に戻った俺には激務が待ち構えていた。次の勤務地にたどり着くまでに完了しておかなければならない仕事が山積みであった。社宅の手配、荷造り、引継ぎ書の作成、転勤先での引継ぎ、後任者着任以降の当面の業務計画書の作成etc

転勤慣れしている俺であっても毎回この業務の数々には心が折れそうになる。ましてや今回は休暇が被ってしまったため時間的な猶予は全くなかった。

この苦痛から解放されるためには、淡々と手を抜かずに一つ一つの業務を終えていくしか方法はない。

「それにしても、この2年半の間に長野、新潟、そして石川県か、どんだけ鬼畜な会社なんだよ!俺の人生、とっても破天荒!」

この事業所での勤務もあと3日に迫った夕刻、あらかたの業務を終えた俺は、そんなふうに自分の運命を軽く呪いつつ、喫煙室へ一服しに向かった。

そこには、気心の知れた上司の姿があった。管轄は違ったが煙草部屋でなんとなく話すようになり、飲みにいくようになった方だ。

「寂しくなるね」

「えぇ、こちらこそ良くしていただいて、ありがとうございました」

お互いに短く挨拶を交わす。しばしの沈黙の後、その上司が想像もつかないことを口にした。

「●●さんのこと、聞いてる?」

「えっ?」

彼女のことだった。一瞬、自分の気持ちを見透かされたようでドキッとしてしまう。

「●●さんがどうかしたんですか?」

「休職するんだよ。彼女」

「・・・・」

思わず絶句してしまった。

上司の話によると、体調不良を理由に退職を申し出たらしいが、所長の計らいで「休職扱い」となり静養するとのこと。

「本当、いろいろ寂しくなるね」

「えぇ…」

俺は、相づちを打つことくらいしか出来なかった。

ウィルスの猛威が迫りくるこの世界で

3月下旬のある日、俺は新潟での最終勤務を終え駅前の居酒屋へ向かっていた。

このころ、コロナウィルスの国内での感染拡大を受けて、会社から「集団での飲み会」等が禁止になった。当然「歓送迎会」の類も禁止になっていたのだが、J君の呼びかけでごく少人数の仕事仲間が俺の送別会を、ひっそりと開催してくれることになったからだ。

駅前の居酒屋の客は予想通り俺達だけだったが、俺たちの「完ソロ送別会」は静けさの漂う店内でよもやま話に話が咲き、大いに盛り上がった。

新潟県は嫌いだったけど、本当、良い仕事仲間達に恵まれたと思う。

実家から500キロも離れた、この地での「出会い」に素直に感謝だ。

当然のことながら、その席に彼女はいなかったのだが…

J君は誘ったらしいのだが、まぁ、来ずらいでしょ、それは。

俺が彼女の立場でも行けないと思う…

楽しく飲んでいる最中、頭の片隅で彼女のことをぼんやりと考えていた。

出会った時のこと、仕事中の彼女、俺との会話、飲み会での彼女、ボーリング大会での彼女…

サヨナラ、サヨナラ…

そう、脳内で呟く…

着任の時、自己紹介で彼女が言った言葉を思い出した。満面の笑み…

「美味しいものを食べている時が一番幸せです!」

「そうだよ、それは世界共通の真理です。だから美味しいものを一杯食べて早く元気になって下さい!人生なんていくらでもやり直せるのだから!焦らなくていいんだよ。今はゆっくり休めばいい。長い人生なんだから。自分を見つめ直して…いつの日か笑顔の素敵なあなたが復活する日を待っています。」

あ~クサい台詞…

この数日間、何度となく、繋がっているlineにこのメッセージを送信したい衝動にかられていた…

でもね、

こういう時は、

静かにしてあげることが一番なのだ。彼女にはきっと時間が必要なんだろう…

唯一の後悔は、こうなってしまう前に、会社の一先輩として、同僚として、彼女を助けてあげられなかったことだ。

「好き」なんていう浮ついた感情なんて押し殺して、やるべきことがあったはずだ…

ホント、格好悪いな…

混濁した意識のなかで、自分を責めつつ新潟最後の夜は更けていった。

次の日は珍しく快晴だった。

引っ越しの荷物を見送り、部屋の最終確認を終え、手伝いに来てくれた奥さんと車に乗り込む。

この土地の氏神さまへお礼参りを済ませ、金沢まで340キロの長い旅路のスタートだ。

「本当、こんな大変な時期に転勤だなんて」

奥さんが言った。

「ひどい会社だな。でも行くしかないから(笑)十分気を付けつつ、今夜は美味しい魚をいただきましょう!」

どこか吹っ切れた感じで俺は言い、アクセルを踏んだ…

あとがき

今回の日記は、途中から完全に自分の気持ちを整理するために書いたものになってしまいました。

ブログを公開している以上、いつもは読んでくださる方を多少は意識して書いているつもりなんですが…

まぁ、基本的に自身のために書いているのでご容赦下さい。

新潟県で過ごした僕と彼女の話は以上です。結局、なんにもなかったのですが(笑)

でも、この年で「恋をする」なんて思ってもみなかったです。コントロールできない感情を体験するなんて…


ま、こればっかりは、しょうがない。

人間だもの…

ちゃんと自制しましたし…

当然、奥さんも知っています。奥さんは、「何歳になってもときめくことは大切だよ」と寛容な姿勢をみせてくれました…仏です。

僕の病は、環境が変わって時間がたてば治ってしまうと思います。その程度のものでしょう、きっと。

でも彼女は病んでしまった。心も体も…

この会社は、仕事の悩みから精神的にまいってしまう人が本当に多い。

明確な理由を知ったわけではないけど、自分も感じているこの会社から発せられる得体の知れない仕事への不安や恐怖がそうなってしまった原因であると自分勝手に思っている次第です。

どんな形であれ、

彼女には早く元気になってほしいと、心から思っています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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